こんにちは!ケイです!
今回のギグリーくんクラブは、絶賛公開中の映画『あらののはて』の長谷川朋史監督へのインタビューになります!
本作は、門真国際映画祭2020で最優秀作品賞、優秀助演男優賞、優秀助演女優賞の三冠を達成ほか、多くの映画祭で賞を受賞。25歳フリーターの野々宮風子(舞木ひと美)が、高校時代に絵画モデルをした際に抱いた “ある感情”の正体を求め、元クラスメートの大谷荒野(髙橋雄祐)と再会を果たすことから始まる、8年前の“初恋”の行く先を描いた作品です。
美しくもどこか懐かしい情景にのせて紡がれた本作を「とても平和な映画」という長谷川監督に、本作の見どころや撮影中のエピソードなどお話しいただきました!
まずは『あらののはて』の物語の着想はどこから得られたのかお聞かせください。
長谷川監督:もともと演劇の演出家として、場面や場所が変わらない演劇を得意としてきました。『あらののはて』を企画した段階で、比較的ロケ撮影を想定しやすい場所として、高校の教室が候補に挙がった時、高校の教室を舞台に繰り広げられるちょっと変わった秘め事というシチュエーションが閃きました。
教室って青春そのものという感じでドキドキしますよね。
長谷川監督:教室という公共の場で、誰も見ていない早朝という時間帯に繰り広げられる二人のデッサンの光景がキーイメージとなって、そこから主人公でモデルを務める風子や、美術部でちょっと不思議なキャラクターの荒野が誕生し、出来事を広げていき物語を作りました。
映画を公開してみて、反応はいかがでしたか?
長谷川監督:完成した当初、この映画は極めてメッセージ性の少ない作品で、同世代であるミドルからシニアにしか響かないと考えていました。 ところが、成人したばかりの若者から「一生忘れられない映画になりました」と言われ大変驚きました。今現在、登場人物たちと同じ世代の若い人にこそ観てもらうべき作品なのかもしれません。
そして、激しくて攻撃的な映画をたくさん観て少し疲れた方々に観てもらいたいと思っています。『あらののはて』はとても平和で優しい映画です。
私も拝見し、とても優しい映画だなと思いました。撮影中はどんな雰囲気だったのでしょうか?
長谷川監督:なにせ二作目の監督作で初長編なので、訳がわからないうちに撮影が終わってしまいました。映画を撮ったというより、舞台演劇の本番をドキュメンタリー風に撮影したと言う感じです。
たしかに舞台演劇の雰囲気は本編内でも随所に感じられました。
長谷川監督:ご存知だとは思いますが、映画の撮影は「よーいスタート!」の掛け声で始まり、「カット!」で終わるのですが、初めは大きな声で言うのが恥ずかしかったのを覚えています。
また、「カット!」の後、確認もせず、口癖で「オッケー!もう一回」と言ってしまいOKなのか、NGなのかキャストを混乱させてしまいました。
本作は「忘れられない出来事」がキーワードになっていますが、監督にとってこれまでの人生で「忘れられない出来事」は何でしょうか?
長谷川監督:どうでもいいことばかり覚えているので、あまり披露できそうな思い出がありませんが、まだ20代の頃、ファッションショーの舞台美術スタッフとして15日間エジプトに行った際、ピラミッドが見えるリゾートホテルのガーデンに野外舞台を組んでの和服のショーはとても壮観だったのですが、ゲストに来ていたエジプトの超VIPのシークレットサービスにマシンガンを突きつけられて、アラビア語だったのでおそらくですが「もし変な動きしたら射つよ」とニヤリと笑いながら言われたのが今も忘れられません。
それは忘れられそうにない、刺激的なエピソードですね(笑)
それでは最後に、本作のアピールポイントと、読者の皆さまへ一言お願い致します。
長谷川監督:『あらののはて』はゆったりとスローテンポで進む、今の時流とは一線を画す作品です。「あ、こんな映画があるんだ」とか「こんな映画みたことない」とか、そんな感想をよく頂きます。 映画は自由で、どんな方法で作られた、どんな映画でも、その作品から受ける感動に限りはありません。 自分も、学生時代に国内外の様々な自主映画に出会ったおかげで、今もこうして映画の世界を楽しんでいます。 『あらののはて』が、皆さんにとってそんな映画の原体験になればこの上ない幸せです。 ぜひ皆さんにも本作を劇場で体験して頂きたいと願っております。
長谷川監督、お忙しい中ありがとうございました!
『あらののはて』は10月8日(金)まで横浜シネマリンで上映中ほか、全国順次公開中です!
是非お近くにお越しの際はご鑑賞ください。
映画公式HP:https://runecinema.com/aranonohate/
映画公式Twitter:https://twitter.com/aranonohate
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<監督プロフィール>
長谷川 朋史 Hasegawa Tomofumi
1967年4月28日生まれ。岡山県出身。
1990年より舞台演出家として活動する傍ら、デザイナーとしてTVアニメ『アクティヴレイド』、『ハンドレッド』、『奴隷区』等の作品に参加。2018年、俳優しゅはまはるみ、藤田健彦らとルネシネマを立ち上げ、自主映画制作を開始。2019年、『かぞくあわせ』(オムニバス3部作)で映画監督デビュー。